選択的懐疑に文脈の捏造、どこまで堕ちるのか。

 さて、性的同意年齢引き上げについて性教育の禁止に繋がりかねない、だから「フェミニズムと保守がまるで共闘しているかのように見える事案」がある、などとscopedogさんがデタラメを書いていることについて真面目に反論している人がいます。詳しくはこちらのエントリーのブコメを参照のこと。(念のためですが私は「狂人」とかいう表記には一切賛同しません)
scopedog.hatenablog.com
もちろん、そういう指摘は重要でしょう。ただ、scopedogさんは多分これが詭弁であることを織り込み済みで書いているんですよね。というのはブコメへの応答を読むと分かります。
scopedog.hatenablog.com
はいはい、分かってますよ、という書き方です。ここでは今は安倍保守政権だからそれに利用されるおそれがあるものは全部ダメという理屈なのでしょう。言及されたid:yasugoro_2012さんとid:D_Amonさんも、ブコメで意図を図りかねている様子ですが、それというのもこれをscopedogさんがマジで主張しているわけじゃない感じがするからでしょう。なぜか。この理屈、ぶっちゃけ、どこかで見たような理屈なんです。これ、多分scopedogさん的な理解の「共同親権反対派のロジック」なんですよ。*1これに反論したら、お前がそのロジックじゃ、とやるつもりだったんじゃないでしょうか。そうじゃなくても性暴力に関する刑法改正についてのフェミニストの主張を嘲笑するという目的があったのは明らかだと思います。以前にもやっていますからね。scopedog.hatenablog.com
もちろん、このロジックはscopedogさんの脳内藁人形ですので意味はありませんし、同様にフェミニストの主張もscopedogさんの「僕の考えたフェミの主張」でしかないので意味はないです。ここではscopedogさんがいかにフェミニストの経験と知識を軽く考えているか、というのが露呈しています。ほとんどのフェミニストが保守派と性教育で水と油なのは、フェミニストの運動の歴史が示している訳です。その経験と知識がある人々に、リプロダクティブヘルス/ライツもまともに理解していないscopedogさんが指南できると思えるのは、scopedogさんのお粗末なマンスプレイニングに賛同できる浅はかな連中にしか存在しないでしょう。こういう軽侮の念がフェミニストや女性に対してとめどなく湧き出てくるのがscopedogさんの凄いところだと思います。(褒めてない)
 歴史修正主義を批判するにあたってはこういうミソジニーとできうる限り決別しておく、って非常に重要だと私は思います。なぜなら、やっぱり差別的な思考って歴史修正主義の方法論と近接していくからです。例えば選択的懐疑主義です。能川元一さんが簡潔にまとめているので、なにそれしらんわ、という方はこちらを参照してね↓nogawam.blogspot.com
こちらの主張を雑にまとめて脳内藁人形で選択的懐疑主義じゃー、というのは、scopedogさんもやってます(脚注1参照)ので、私からは具体的にscopedogさんの記述に沿って言わせてもらいましょう。scopedogさんは下記のエントリーでこのように書いています。長くもないので全文引用します。
雑感 - 誰かの妄想・はてなブログ版

“普段、リベラルな発言をしているのに、性暴力の問題になるとおかしな発言をする人がいる”みたいなツイートを見かけましたので。
まあ、ツイート主の意図とは違う意味で私も同じように感じている部分はあります。

例えば、有名な冤罪事件などで司法のあり方を批判したり、再審無罪になった後も犯人扱いする警察関係者の発言を批判したり、あるいは逮捕時点で犯人視する報道を批判したりと、これらは“推定無罪”の原則などを踏まえれば、リベラルとして当然の対応だと思います。
しかし、これが性暴力事件になった途端にそれらの原則を放擲する人たちがちょいちょい存在しており、そういう意味で私は冒頭のような感想を抱いています。

性暴力事件の場合だけ、冤罪の可能性すら認めない、逮捕時点で犯人扱いして非難する、裁判で無罪判決が出た後(それも暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を満たさなかったという理由ではなく容疑事実そのものが否定された場合)ですら確たる根拠もなく被告を犯人扱いする人ですね。

冤罪主張を被害者に対するセカンドレイプだと主張する一方で、無罪判決の出た被告を加害者呼ばわりすることには疑問を抱かない、という論理は私にはちょっと理解できません。

 昨今の報道を見ていれば、scopedogさんの性暴力事件とその判決への言及が明らかにおかしいことに気付くと思います。なんでこんなに性暴力関係の刑法改正が話題になるのか。暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を満たさなかったという理由で裁判の過程で明らかに不同意(一般的な感覚で言えばレイプ)が認定されているにもかかわらず、無罪判決がでているケースが複数あったからですよね。報道をみていれば、普通はそういう理解になると思います。*2よほど認識が歪んでいない限り。そして、なぜそうなるのか、と言えばそこには男性中心につくられてきた司法制度があるからじゃないですか?(刑法の性交同意年齢の規定も「明治」から変わってない、「明治」の立法者はリベラルだったのだろうか?ぶっちゃけ今の規定でも性教育が満足に行われていないことを考えれば、禁止の理由にするのは難しいでしょう)まず、リベラルだとかなんだとか言うのならば、権力が作った差別的な制度に着目すべし、としか言いようがないっす。推定無罪の原則の不徹底はそれをやってる当人に注意すれば?と思いますね。きちんとした理路で憤ってる人とそうでない人を一緒くたにする雑な印象論で論じて正当な要求を不当な要求のようと見せかけようとしているのはscopedogさんの差別的な態度の表れです。前もやってましたよね。指摘しましたけど。scopedogさん自身も不同意が認定されているケース(一般的な感覚で言えばレイプ)で無罪がでてるって分かってるんでしょう?だから括弧で(それも暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を満たさなかったという理由ではなく容疑事実そのものが否定された場合)って追加してるんじゃん。*3まさにこれが選択的懐疑主義です。scopedogさんがやるべきことはまず自分の差別的な感情と向き合って徹底的に反省することだと思いますよ。
 他にも、私が一度も言ったことがないことが言ったことにされたりしています。
DV被害者に対して「どうでもいい」と言い放ったEoH-GS氏のコメント - 誰かの妄想・はてなブログ版
以下の発言がそう言ったことにされているんですね。

親子断絶防止法案に反対している人たちが、子どもと引き離されている親の権利はどのように守られるべきだと考えているのかわからない - 誰かの妄想・はてなブログ版

徹頭徹尾、親の視点でしか語ろうとしないところがこの法案の推進者の最大の問題点。どうして、子どもの視点に立てないのか。子どもの側に立てれば、この論点も生きるでしょうに。親の権利なんてどうでもいいよ。

2016/10/29 06:58
完全に文脈を捏造しています。普段虚偽DVとか言ってるくせに、DVの加害事実の認定にもとても選択的なものを感じます。ちなみに私はどっちも疑ってません。基本DVの話はDV防止法で解決すべきだし、共同養育にするんだったらDVが認定されているケースと疑い例は問答無用で共同養育の適用ストップ、加害者側(疑い例含む)からは離すってことにすれば良いだけだと思います。

最後に、選択的懐疑をしちゃう自称リベラルさんには、さるとらさんが前に平等と正義について書いた記事が勉強になると思いますのでリンクを貼っておきましょう。scopedogさんもちゃんと読んで学んでください。最後のつっこみも重要だよ。
sarutora.hatenablog.com

以上です。

*1:

“離婚後共同親権に反対するつもりはないけど、主張している連中が極右だから気に入らない” とか言うような人を、私は離婚後共同親権反対派に含めています。

どちらも選択的懐疑主義だと思う - 誰かの妄想・はてなブログ版
これは明らかに私を指しているのですが、私はこんな雑な主張をしていません。scopedogさんはね、虚偽DVっていう一番やばい主張が右翼と被ってるんですよ - ももばと友の会を参照。

*2:www.huffingtonpost.jp jp.reuters.com

*3:全部分かって書いているっていうのが分かりますね。邪悪だなぁ。