「利用する、便利じゃん」の末路としての小選挙区制と安倍政権

小選挙区制について話題になっていたので書く。
amon.hatenablog.com
 最初に言っておくが、ここでid:D_Amon氏が言っていることは嘘ではない。自民党はずっと小選挙区制をやりたかった。根拠が新日本出版社の書籍だからといっても本当のことだからしょうがない。問題はなぜ自民党政権の時ではなく、細川連立政権の時に小選挙区制になったのか、ということだ。

 なんでD_Amon氏がちゃんと書かないのか分からないが、当時は小選挙区制に賛成しないのは頭の固い守旧派みたいな雰囲気ができあがっていた。背景にあったのはリクルート事件や佐川事件などの金権政治批判だ。また、族議員や派閥政治という自民党の問題も大きく批判されていたという背景もあった。そこで出てきたのが政治改革の議論だ。金権政治批判は、中選挙区制は不正の温床だし、政権交代ができにくい。だから政権交代できる選挙制度にしよう! そうだ!小選挙区制だ。これで民意を「集約」することにより政権交代ができるようになり、イギリスやアメリカのようなスマートな二大政党制になれる!という選挙制度改革の話が主流になってしまった。ちなみに政党に直接税金を分配という政党助成金もこのときに、金権政治批判の文脈ででてきて実際に成立しちゃった制度だからね。

 こうした議論は小沢とか自民党内から出てきて、自民党は分裂、宮澤政権は解散。自民党から出てきた小沢、細川(元自民党)、武村とかの連中に社会党などの野党も同調して細川連立政権をつくった。この政権が自民党選挙制度で妥協したのは、そもそも自分たち(特に自民党から来た連中)も小選挙区制導入を主張してたってことと、政治改革関連法を成立させないと政権維持が難しかったから。反対する人間を守旧派呼ばわりして黙らせようとするすごいイメージ戦略が横行していた。今の立憲民主党とかにいる連中はこの系統。政治学者で露骨に旗振りしていたのが山口二郎。きちんと反対している人間は少なかった。政党だと共産党くらい、社会党自民党の一部にもはっきりとした反対者はいたけど少数派。ジャーナリストでちゃんと言ってたのは朝日の石川真澄が印象に残っているくらい。全然少数派でした。

 死んだ山花貞夫とか今、立憲民主党にいる赤松広隆など、社会党にいた人間なんかテレビで反対論をはなす共産党議員を嘲笑してたくらい。まあ、ひどかったわけです。今、この辺りの連中は「アベ政治を許さない!」とか言ってる訳でしょう? 安倍政権がひどいのはそうだけど、オメーらがアシストお膳立てして作った制度でこんなことになってるんだっつーの。安倍政権の問題とされる党中央への権力の集中とか、実際の支持率以上の得票っていうのは小選挙区制の問題として当時もとっくに指摘されてたのに当時聞く耳持たなかったからね、あいつらは。その反省全然なさげなのはすごい問題だと思います。うろ覚えだけど当時の政治状況を興味深く見ていた人間としてはこういう印象です。

ロージャオモーをもつブタさん
肉夾饃(ロージャオモー)ぶつけてやりてぇ
 ずっと自民党がやりたかったことが、「改革派」の連中の助けを借りてなんとなく新しい政策みたいイメージを獲得して本当に成立した。というのが事実関係として最低限抑えておかなければならない背景なんじゃないかな、と思います。この事実から権力者がやろうとしていることを「利用」して、なにかを成し遂げようとするということには、とてつもないリスクがあるんだ、という教訓を得られないと駄目なんじゃない?っていうのは、最近の「てんのうへーか万歳リベラル」を見ていても思うことですね。

2019/11/24
脱字、重複表現を修正

選択的懐疑に文脈の捏造、どこまで堕ちるのか。

 さて、性的同意年齢引き上げについて性教育の禁止に繋がりかねない、だから「フェミニズムと保守がまるで共闘しているかのように見える事案」がある、などとscopedogさんがデタラメを書いていることについて真面目に反論している人がいます。詳しくはこちらのエントリーのブコメを参照のこと。(念のためですが私は「狂人」とかいう表記には一切賛同しません)
scopedog.hatenablog.com
もちろん、そういう指摘は重要でしょう。ただ、scopedogさんは多分これが詭弁であることを織り込み済みで書いているんですよね。というのはブコメへの応答を読むと分かります。
scopedog.hatenablog.com
はいはい、分かってますよ、という書き方です。ここでは今は安倍保守政権だからそれに利用されるおそれがあるものは全部ダメという理屈なのでしょう。言及されたid:yasugoro_2012さんとid:D_Amonさんも、ブコメで意図を図りかねている様子ですが、それというのもこれをscopedogさんがマジで主張しているわけじゃない感じがするからでしょう。なぜか。この理屈、ぶっちゃけ、どこかで見たような理屈なんです。これ、多分scopedogさん的な理解の「共同親権反対派のロジック」なんですよ。*1これに反論したら、お前がそのロジックじゃ、とやるつもりだったんじゃないでしょうか。そうじゃなくても性暴力に関する刑法改正についてのフェミニストの主張を嘲笑するという目的があったのは明らかだと思います。以前にもやっていますからね。scopedog.hatenablog.com
もちろん、このロジックはscopedogさんの脳内藁人形ですので意味はありませんし、同様にフェミニストの主張もscopedogさんの「僕の考えたフェミの主張」でしかないので意味はないです。ここではscopedogさんがいかにフェミニストの経験と知識を軽く考えているか、というのが露呈しています。ほとんどのフェミニストが保守派と性教育で水と油なのは、フェミニストの運動の歴史が示している訳です。その経験と知識がある人々に、リプロダクティブヘルス/ライツもまともに理解していないscopedogさんが指南できると思えるのは、scopedogさんのお粗末なマンスプレイニングに賛同できる浅はかな連中にしか存在しないでしょう。こういう軽侮の念がフェミニストや女性に対してとめどなく湧き出てくるのがscopedogさんの凄いところだと思います。(褒めてない)
 歴史修正主義を批判するにあたってはこういうミソジニーとできうる限り決別しておく、って非常に重要だと私は思います。なぜなら、やっぱり差別的な思考って歴史修正主義の方法論と近接していくからです。例えば選択的懐疑主義です。能川元一さんが簡潔にまとめているので、なにそれしらんわ、という方はこちらを参照してね↓nogawam.blogspot.com
こちらの主張を雑にまとめて脳内藁人形で選択的懐疑主義じゃー、というのは、scopedogさんもやってます(脚注1参照)ので、私からは具体的にscopedogさんの記述に沿って言わせてもらいましょう。scopedogさんは下記のエントリーでこのように書いています。長くもないので全文引用します。
雑感 - 誰かの妄想・はてなブログ版

“普段、リベラルな発言をしているのに、性暴力の問題になるとおかしな発言をする人がいる”みたいなツイートを見かけましたので。
まあ、ツイート主の意図とは違う意味で私も同じように感じている部分はあります。

例えば、有名な冤罪事件などで司法のあり方を批判したり、再審無罪になった後も犯人扱いする警察関係者の発言を批判したり、あるいは逮捕時点で犯人視する報道を批判したりと、これらは“推定無罪”の原則などを踏まえれば、リベラルとして当然の対応だと思います。
しかし、これが性暴力事件になった途端にそれらの原則を放擲する人たちがちょいちょい存在しており、そういう意味で私は冒頭のような感想を抱いています。

性暴力事件の場合だけ、冤罪の可能性すら認めない、逮捕時点で犯人扱いして非難する、裁判で無罪判決が出た後(それも暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を満たさなかったという理由ではなく容疑事実そのものが否定された場合)ですら確たる根拠もなく被告を犯人扱いする人ですね。

冤罪主張を被害者に対するセカンドレイプだと主張する一方で、無罪判決の出た被告を加害者呼ばわりすることには疑問を抱かない、という論理は私にはちょっと理解できません。

 昨今の報道を見ていれば、scopedogさんの性暴力事件とその判決への言及が明らかにおかしいことに気付くと思います。なんでこんなに性暴力関係の刑法改正が話題になるのか。暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を満たさなかったという理由で裁判の過程で明らかに不同意(一般的な感覚で言えばレイプ)が認定されているにもかかわらず、無罪判決がでているケースが複数あったからですよね。報道をみていれば、普通はそういう理解になると思います。*2よほど認識が歪んでいない限り。そして、なぜそうなるのか、と言えばそこには男性中心につくられてきた司法制度があるからじゃないですか?(刑法の性交同意年齢の規定も「明治」から変わってない、「明治」の立法者はリベラルだったのだろうか?ぶっちゃけ今の規定でも性教育が満足に行われていないことを考えれば、禁止の理由にするのは難しいでしょう)まず、リベラルだとかなんだとか言うのならば、権力が作った差別的な制度に着目すべし、としか言いようがないっす。推定無罪の原則の不徹底はそれをやってる当人に注意すれば?と思いますね。きちんとした理路で憤ってる人とそうでない人を一緒くたにする雑な印象論で論じて正当な要求を不当な要求のようと見せかけようとしているのはscopedogさんの差別的な態度の表れです。前もやってましたよね。指摘しましたけど。scopedogさん自身も不同意が認定されているケース(一般的な感覚で言えばレイプ)で無罪がでてるって分かってるんでしょう?だから括弧で(それも暴行・脅迫要件や抗拒不能要件を満たさなかったという理由ではなく容疑事実そのものが否定された場合)って追加してるんじゃん。*3まさにこれが選択的懐疑主義です。scopedogさんがやるべきことはまず自分の差別的な感情と向き合って徹底的に反省することだと思いますよ。
 他にも、私が一度も言ったことがないことが言ったことにされたりしています。
DV被害者に対して「どうでもいい」と言い放ったEoH-GS氏のコメント - 誰かの妄想・はてなブログ版
以下の発言がそう言ったことにされているんですね。

親子断絶防止法案に反対している人たちが、子どもと引き離されている親の権利はどのように守られるべきだと考えているのかわからない - 誰かの妄想・はてなブログ版

徹頭徹尾、親の視点でしか語ろうとしないところがこの法案の推進者の最大の問題点。どうして、子どもの視点に立てないのか。子どもの側に立てれば、この論点も生きるでしょうに。親の権利なんてどうでもいいよ。

2016/10/29 06:58
完全に文脈を捏造しています。普段虚偽DVとか言ってるくせに、DVの加害事実の認定にもとても選択的なものを感じます。ちなみに私はどっちも疑ってません。基本DVの話はDV防止法で解決すべきだし、共同養育にするんだったらDVが認定されているケースと疑い例は問答無用で共同養育の適用ストップ、加害者側(疑い例含む)からは離すってことにすれば良いだけだと思います。

最後に、選択的懐疑をしちゃう自称リベラルさんには、さるとらさんが前に平等と正義について書いた記事が勉強になると思いますのでリンクを貼っておきましょう。scopedogさんもちゃんと読んで学んでください。最後のつっこみも重要だよ。
sarutora.hatenablog.com

以上です。

*1:

“離婚後共同親権に反対するつもりはないけど、主張している連中が極右だから気に入らない” とか言うような人を、私は離婚後共同親権反対派に含めています。

どちらも選択的懐疑主義だと思う - 誰かの妄想・はてなブログ版
これは明らかに私を指しているのですが、私はこんな雑な主張をしていません。scopedogさんはね、虚偽DVっていう一番やばい主張が右翼と被ってるんですよ - ももばと友の会を参照。

*2:www.huffingtonpost.jp jp.reuters.com

*3:全部分かって書いているっていうのが分かりますね。邪悪だなぁ。

台風の中での新聞配達。「新聞同人の矜持」とは?新聞労連ってなにしてるの?

毎日新聞グループホールディングス取締役の小川一氏のツイートでのやりとり。この台風の中でも配達前提の新聞を発行していることについて、突っ込まれている訳だが。




 ここで突っ込み入れてる人とは、私は政治信条まるで違うのだけれども、それでもこの小川一氏の開き直りには心底おどろかされる。新聞発行本社は販売店とは別会社なので関係ないのだ、と言わんばかり、というか言ってるわけだ。この場合は特に『毎日新聞』の専売店ではない、というニュアンスで言っている。合売店でもどこかの専売のついでに他紙の販売をしている。専売店か合売店かというのはあまり意味のある返しではない。そもそも、配達・販売に対するリスクを販売店に丸投げする構造がコンビニのフランチャイズと構造が似てるよねぇって言われているわけで、新聞業界全体の問題なわけである。まあ、小川氏の場合、この辺りをとぼけて答えている辺りが悪質度が高いと言えるだろう。実際問題として販売店側に対して発行本社が優越的地位にあることは押し紙問題などでも度々指摘されていることである。その発行本社が新聞を発行すると決めたらどうなるか?火を見るより明らかである。私の住む地区は避難勧告が出されていたが、『朝日新聞』の朝刊が定刻配達されていた。大手紙が休刊を決めたという話は聞かないのでどこでも同じような状況だったのであろう*1。なにもなかったから良かったとは言え、なにかあったらどうなるか?せいぜい販売店が責任をとって終わりだろう。休配を決めた販売店があるとは聞いているが、発行された新聞を休配にするという判断を配達店に丸投げしているという構造自体が問題だ。
 新聞配達がとても危険を伴う仕事であることは、厚生労働省労働災害統計*2を見れば、毎年死亡者を出していることからも明らかだ。自分も配達員時代に重大な事故を身近で数件経験したことがあるほどだ(奨学生が足を失うような事故もあった)。各地の労働局から様々な注意喚起もされている。*3そんな危険な仕事を台風の大雨、大風のなかでおこなわせることの問題点を、言われなければ分からないのだとしたら、ジャーナリストは辞めた方がいい。政府の広報しかできんでしょう。しかし、小川氏のような経営側の人間がこのような放言をするのは一歩譲って致し方ないが、新聞労連は一体この問題をどのように考えているのだろうか。新聞労連の元幹部を何人か知っているので販売店の労働環境について何かやっていたのか聞いたことがある。「チームを作って対応してた」など歯切れが悪く、モゴモゴ言っていたが、ほとんど何もやっていなかったのであろうなぁ、という印象であった。今からでも遅くはないので、少なくとも台風の時ぐらいは発行本社で休刊を決めるよう求める位はしていただきたいものだ。自分たちの媒体に関係する労働者の労働安全に興味がないようなジャーナリストやジャーナリズムにいかほどの価値があるのか。ぜひ自問していただきたい。

*1:産経新聞は夕刊がない

*2:anzeninfo.mhlw.go.jp統計に出てきているのは多分氷山の一角なのではないかなぁと現場を見ていた人間としては思う。

*3:PDF注意。新聞販売業における労働災害防止対策https://jsite.mhlw.go.jp/tochigi-roudoukyoku/library/tochigi-roudoukyoku/sonota/anzen/anzen-leaf-shinbunhanbai.pdf

能川元一さんに粘着して正体を指摘されてしまう「共同親権推進」界隈の人

scopedogさんが、がんばってきれいな「共同親権」を主張されています。
scopedog.hatenablog.com

 しかし、どんなに取り繕っても日本の「共同親権推」進界隈がどろどろのズブズブに極右に汚染されているのは、人権課題(とりわけ女性や子どものそれ)に取り組む人々にはすでに周知の事実です。まっとうに人権感覚があり共同親権の必要性を認識している人なら、正直このことに触れるのみならず、右派の「共同親権推進」派の狙い(DV防止法の骨抜き)にどのような対策をとるべきか、それなりに説明せざるを得ないレベルと言えるでしょう。

f:id:EoH-GS:20181220232531j:plain
はすみとしこさんのイラストが映える「共同親権推進」派のイベント
それが分からないのは「ぼかぁ、女性や子どもの人権問題には興味ないんだよね」と告白しているに等しいですね。残念なことですが、リベラルとか左翼のおじさん(おじさんだけじゃなかったりすることも多々あり)にそういう人がそれなりのボリュームで存在しています。わかる人にはなにを今更な話ですが。そして、そういう人って単に興味がないだけでなく、「女性や子どもの人権問題」(と彼らが見なすこと、LGBTQも含まれたりする)に取り組むこと自体をネチネチ攻撃してきたりするんですよね。scopedogさんも性犯罪の刑法改正を求める女性たちに粘着していました。(下記参照)
eoh-gs.hatenablog.com
scopedogさんそういう意味ではめちゃくちゃ典型的な人だと思います。私も有名リベラル男性論客の方の酒席に同席せざるを得なかった時に、その人が所属組織のセクハラ規定にずっと文句を言っていて面食らった経験があります。(あの様子ではそのうちなにかやらかすだろうなぁ。)また、つい最近も藤田孝典さんの炎上などありました。togetter.com非常に根深い問題と言えるでしょう。

さて掲題の件ですが、歴史修正主義や右派言説に関する著作がある能川元一さんが以下のツイートをしたところ、あちら界隈のみなさんに粘着されていました。


お馴染みのアレな人々のリプライがぶら下がっていて能川さんのツイートの証明になっている感じですが、典型的な発言をしていて能川さんに正体をバッチリ指摘されてしまっています。

歴史修正主義と闘ってる設定のscopedogさんがどう言い抜けるのか?または無視するのか?興味深いですね。

scopedogさんはね、虚偽DVっていう一番やばい主張が右翼と被ってるんですよ

 三国志展についてもうひとつ、仏像のことを書いておきたかったんだけど、scopedogさんがまたぞろ言い訳してるようなのでそっちに対応しておく。
scopedog.hatenablog.com

大切なことだから冒頭に大きく書いておくね。

  • 私は共同親権がまずいと言っているわけではない。
  • 共同親権を隠れ蓑にしたDV防止法の骨抜きがまずい。
  • 保守派の連中はそれを隠しもせずにべらべら喋っている。
  • 人権課題についての社会運動で、明らかにまずい目的を隠そうともしない連中が大量に関わってきたらあなたはどうしますか?
  • 私だったら、その連中を運動からパージする。運動の目的を大きく毀損するからだ。
  • scopedogさんは明らかに、保守派の目的に気付いている。
  • なぜ、問題視しないのか。
  • scopedogさんも保守派と同じ目的をもっているから。虚偽DVっていう一番やばい主張が被ってるんですよ。

めっさホラーだね。

 前から言っていることだが、離婚後の共同親権の必要性については離婚家庭の子ども当事者だった私の方がscopedogさんよりよっぽど知っとるわい、としか言いようがない。保守派とそれに同調する共同親権推進派の発言を目の当たりにするまでは、共同親権推進した方がいいわー、と思っていたくらいなのだ。ただ、私は離婚家庭における子どもの権利の扱いが、はなはだないがしろにされがちなのも身をもって知っている。会いたいのに会えないのもイヤだが、会いたくもないのに会え、もお断りだ。そういう意味では共同親権を謳う法律案がどの程度、子どもの人権に配慮したものなのかは、非常に興味があったのだが、出てきた代物は驚愕するしかないものだった。それが以下の法文案である。
https://nacwc.net/files/houbun.pdf(PDF注意)

これを一読してすぐに気付いたのが、この法律案には複雑な家庭に育つ子どもにとって重要な、子どもの意見表明権が全く書かれていない!という事実だ。子どもの権利条約にも書かれている重要な権利でもあり子どもの権利を擁護する上で欠かせない権利のはずである。それがない理由にもすぐに気付いた。保守的家族観の横溢する文面だ。第一条の目的には以下の文言が挟み込まれている。

この法律は、父母の離婚等(未成年の子(以下単に「子」という。)を有する父母が離婚をすること又は子を有する父母が婚姻中に別居し、父母の一方が当該子を監護することができなくなることをいう。以下同じ。)の後においても子が父母と親子としての継続的な関係(以下単に「継続的な関係」という。)を持ち、その愛情を受けることが、子の健全な成長及び人格の形成のために重要である

離婚家庭育ちの人間は不健全なのだろうか?お上から健全、不健全な家庭を指定するような法律案は健全なのだろうか。普通の左翼ならば、そういう疑問が真っ先に浮かぶ文言だ。scopedogさんがこの法案になんの疑問も持っていなかったことと、なぜこの法律案で保守的な家族観が横溢しているかについては、下記でも書いているので引用しておく。
eoh-gs.hatenablog.com

しかし、そうした後出しじゃんけんは置いておいて、なんで千田氏はDV離婚にこだわってるのかっていうのを考える必要があるんではないだろうか?
scopedogさんのエントリーを読むと千田有紀氏が一人でかってにDV問題にしたがっているようにしか見えないので全く分からないけど、それはこの「親子断絶防止法案」を推進している団体「親子断絶防止法 全国連絡会」(サイト http://oyako-law.org/index.php)がめちゃくちゃそれにこだわっているからなんだよね。(よく読めば千田氏の文章もそういう記述なんですが。リンク張ってるし) (中略)いろいろともっともらしい理由がついてはいるがこのサイトの人たちはDV防止法が目障りなんだろうな、と思います(個人の感想です)。さらに、このサイトにある立法の目的みたいなのがひどい。

連れ去りや離婚ではなく、不幸な事故や病気で片親を失った子どもは、日々片親の素晴らしいところを聞きながら成長し、子どもは自尊心を持って成長していくことでしょう。
私たちは生きているにも関わらず、子どもと触れ合うこともできません。
美しい思い出は、少しづつ色褪せ、後から少しずつ長い時間をかけて吹き込まれる事後情報に、記憶も少しずつ歪められていきます。長い年月を乗り越えて再会した頃には、子どもは離れて暮らしている親への愛情を完全に失っているかの様なこともあります。それでも私たちの子への愛情は消えません。誰がどんなに消そうと試みても、子どもへの愛情は失いません。
子どもには両親が必要です。子どもも両親を愛しているのです。

子どもが両親の愛情を日常的に直接感じられること、頻繁かつ継続的な交流こそが子どもの利益ではないでしょうか?
求める立法 - 共同養育支援法 全国連絡会

 愛情とか美しい感じの言葉が書かれているけど、一番最初で連れ去りと離婚を同一視してしまっているというおっちょこちょいぶりを発揮。

ここでscopedogさんが擁護している団体として触れている親子断絶防止法全国連絡会(当時)は、その後、右翼路線を隠しもせずにテキサス親父事務局の藤木俊一の動画を紹介している。
oyako-law.org
動画はこちら

ここまで書いても往生際の悪い人は「違うよ、全然違うよ」「たまたま被っただけ」とか言うかもしれない。しかし、冒頭で書いているように、この連中は「子どもの連れ去り」「虚偽DV」等の文言を用いてはっきりと自らの目的が奈辺にあるかを喋っているので、代表的事例として杉田水脈のニコ生での発言を引用しておく。
eoh-gs.hatenablog.com

杉田水脈
あのねー、まぁその議論の中でですね、私たちはこんなに頑張ってDV法を作ったりー、とかいろいろ福島瑞穂さんが言ってました。で、あのDV法とか作ったから余計に女性は弱者だっていう形で肯定されてしまっているという問題があって、これが最近、私のところにいろんな方から、実際の方から、直接お話を聞いている「子どもの連れ去り問題」なんです。で、「子どもの連れ去り問題」って言ったら皆さん誘拐されてどっかに連れてかれると思うでしょ。そうじゃなくって、ある日、突然、奥さんと子どもが、姿を消してあのシェルターとかに匿われて、お父さんはいきなり会えなくなる、っていうやつなんですよ。
中丸啓
それ理由がDVなわけね
杉田水脈
そのお父さん実はDVとかやってないんだけれども(中丸 ああ)
杉田水脈
今ねー役所の窓口に行ってね。「怖いんです」(高い声)て言うだけで、もうそこでお父さんはシャットアウトされて、子どもとお母さんはシェルターに入れられて
中丸啓
え、それ、でも例えば役所に逆に男性がね、自分の子ども連れて「うちのお母さん怖いんです」(高い声)て言っても匿ってもらえるの?
杉田水脈
普通はねぇ、そうなんだけど、ほとんどのシェルターとかは女性向けなんで(中丸 あー)。で、そういうところに男女共同参画の予算とかが、すごい注がれていて、実際にそういうのがあって、今は多いのはね、女性が、先程のじゃないけれども、不倫してる。ばれそうになったら役所とかに駆け込んで、「あたしDVに遭ってるんです」(高い声)って言うと、もう旦那さんは(被って聞き取れず)
中丸啓
それって調べないの?
杉田水脈
調べないんだって。これがDV法がどんどんどんどん強化されていっているんですよ、それで。で、ちょっとしたことで、別に暴力振るわれてなくてもいいとかね。
中丸啓
そりゃほんとにね、暴力振るわれて困ってる人たちはいるんだけど(杉田 人たちはいるんだけれども)保護しないといけないけれども、そうじゃない人は、まぁ要は生活保護だってそうだけれども、本当に保護してあげないといけない人たちと、それをいいことに乗っかっている人たちを、仕分けはやっぱりしないといけないよね。
杉田水脈
そう、そうなの。だからやっぱり痴漢冤罪とかもそうだけど、じゃぁこの人痴漢て言われたら9割やられちゃうらしい、ほんとにやってなくても。(中丸 ほんとにやってなくてもね。)冤罪だと晴れたとしてもね、社会的地位も全部失って、これも、この問題もね。弁護士が100%勝てるんですって。だからこの問題ね、私も色々な方の話を聞いて、もしかしたらその人ほんとにDVやってるかもしれないから、そんなのもアレなんだけれども、1つ言えるのは構図が慰安婦問題と一緒なんですよ。弁護士とか、そういう日弁連とかが、国連に言いに行って、そんなに日本はDVが多いです、男の暴力が多いです、男尊女卑です、っていうことを国連に言いに行って、で国連からこうきて、DV法を作れとか、いうことをやっていて、そこに群がっている人権派弁護士とか、そこにいる人、組織、構図が慰安婦問題と全く一緒なんです。これだけは言える真実なんです。だから今後もっとこの話は私深めて調べて行かないといけないんですけども、こういう子どもの連れ去りで、やっぱり裕福なお父さんが狙われる。社会的地位がある人たちが狙われていくので、金取れるでしょ。(省略)それであの今後はそういった問題にも取り組んでいきたい、というふうに思っております

【帰ってきた!!】夜のみおちゃんねる 定期配信【祝!!】 - 2017/11/25 20:00開始 - ニコニコ生放送
↑ちなみに前はYouTubeに上がってたんですけど、今は見れないので見たい方はここが元の動画です。
ついでにはすみとしこのも挙げておくか。

はすみとしこさんも絶賛参戦中だよ。すごいね(棒

保守ウォッチャーしてたら藤木―杉田―はすみ、が昵懇なの知ってるよね。

三国志展で展示されてた厠圏(豚トイレ)
特別展三国志で展示されてた厠圏(豚トイレ) なんかここに必要な気がした
scopedogさんが運動に入っている右翼連中を良く認識しているのは下記のエントリーでも紹介しています。
eoh-gs.hatenablog.com
ここで引用しているscopedogさんの文章を再度引用しておこう。

ところで私も親子断絶防止法関連で賛成派と反対派のやり取りを見ているのですが、敢えて左右の色分けをするならば、賛成派が右、反対派が左という傾向は確かに見られます。賛成派で、排外差別に肯定的だったり、反民主・反社民・反共産といった発言も確かに多く、ネトウヨが多いという印象は確かに否定できません。

社民党共産党も法案には反対の姿勢のようですから、左派は反対の傾向が強いというのも否定できません。

困ったことに、家庭教育支援法案というガチの日本会議案件と、この親子断絶防止法案を混同している人も結構見かけます。

“伝統的家族観”大好きの日本会議にとって、離婚家庭はそもそも興味の範囲外なので親子断絶防止法案が日本会議案件であるわけもないんですけどね。親子断絶防止法案を推進してきた別居親の団体は、社民や共産といったリベラル系から相手にされなかったこともあり、保守系に助けを求める以外なかったという事情を考慮すべきです。

ハーグ拉致条約の際、排外主義団体と並んで最も激しく抵抗したのが、リベラルの牙城たる日弁連だったこと*1は、これを理解するうえで重要なポイントです。

左派は伝統的にDV被害を受ける女性を救済する方向で活動し、それに特化し過ぎたため、DV防止法が“悪用”されている実態の把握や対処ができていません。

“悪用”という言い方は適切ではないかもしれません。むしろ特化しすぎたため袋小路に迷い込んだという方が適切かもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20170328/1490651379

はい、あっさり「DV防止法の悪用」に言及しています。わかりやすいですね。
杉田水脈と主張が丸かぶりじゃん!

また、ここで「“伝統的家族観”大好きの日本会議にとって、離婚家庭はそもそも興味の範囲外なので親子断絶防止法案が日本会議案件であるわけもないんですけどね」と言及している部分が事実と反していることは、Twitterでのakabishiさんや能川元一さんの注意喚起を見るとよいと思います。『祖国と青年』が日本会議と非常に縁が深いのはググればわかりますよね。前にも書きましたが「離婚家庭は伝統的家族を破壊する存在なんですから、めっちゃコントロールの対象として考えてるに決まってますがな。」と突っ込ませてもらいましょう。保守派って案外柔軟なんですよ。



 最後に、scopedogさんの「離婚後共同親権日本会議の陰謀呼ばわりする人は主要な諸外国が軒並み離婚後共同親権を容認していることをどう思っているのだろう?」という疑問に答えておきますけど、別にめちゃくちゃあからさまだから陰謀だと思ってないし、虚偽DVとか喚いてる右翼連中を運動内から自浄することができるなら、全然容認しますよ。まあ、浄化された共同親権制度にscopedogさんの居場所はないと思いますが。こちらからはそれだけですね。

※2019/10/01 タイトルをわかりやすく修正 さらにちょこっと脱字等修正

特別展「三国志」を見てきて銅鏡の展示について考えたこと

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キービジュアル?だった関羽
 特別展「三国志」が東京国立博物館で9月16日までやってたので先日見てきた。終了直前に思い出し、危うく見逃すところでした。3時間くらいでまわれるかと思って閉館時間まで粘って3時間くらいの目安で行ったのだけれど全然足りず。真面目にみるなら5~6時間必要かもしれない。
 展示はよかったですよ。特に当時の生活感がわかる展示がよかったです。三国志って戦闘に注目されがちなので、そういう当時の生活が想像できる文物があるとぐっと身近に感じられるので。人形劇三国志三国志から入った自分的には川本喜八郎の人形も懐かしくてよかった。
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穀倉楼 シルバニアファミリーっぽい
そのなかで、ちょっと考えさせられたのが鏡台の展示です。
鏡台の写真
鏡台
 出土した副葬品なので実際に使われていたものではなく土器みたいなものなんだけど、写真のように展示されていた。もしかしたら、高さ調節できたのかもしれないような作りになっていて感心すると同時に展示に違和感を覚える。鏡面が逆じゃない?これ。こういう風に使ってた訳じゃないよね。片付けるときはこうだったかもしれないけど。ということは出土したときの状態はこれだったのか?もしかすると、このもこもこしてる方が鏡面なのか?といろいろ考えながら裏から見てみるとやっぱり鏡面裏だよなぁ、という感じ。
鏡台の裏側の写真
鏡台裏側
 ご丁寧に穴まで空いており鈕(丸いでっぱり)の部分で固定する(紐使うのかな)ためっぽい。となると、どうしてこういう風な展示になったか凄い気になってくる。素人考えの一つの仮説だと、銅鏡の展示と関係しているんじゃないかなぁ、と。銅鏡って現在、鏡面自体は関心を持たれることはなく、裏面の装飾とか銘文とかに関心が集中するので、基本展示も裏面が基本になっている。教科書にもだいたい裏面しか載ってない。鏡面錆だらけで展示しても、なんだか分からないという問題もあるだろうし、真っ平らな方より装飾してある方を見せたくなる気持ちも分かる。だから、この鏡台の展示でも裏面を表にしてるのかもしれない。でも、鏡台の展示の場合はやっぱり使ってるときの姿で展示した方がよいのじゃないかなぁ、と思った。特にこの鏡台の場合、裏面にも工夫が見られるし、仮に出土したときの状態がこのまんまだったとしても、鏡面を表にして展示した方が、当時の生活感がよりリアルに出たんではないでしょうか。まあ、専門家が考えた末にこうなってるのだから、やはり裏面を見せたかったということなのだろうけども。でも、当時の人がどう使ってたかというのを写真で補足するなりしてもらうとよかった気がするのでした。そういう意味では銅鏡の展示も鏡面がどうなっているのか補足で説明するような展示できないかなぁ、と思う。印の場合は、それこそ鏡を使って印面を見せる展示をしてるわけで。全部でやる必要はないと思うけど、一点くらいはそういう展示があってもよいんでは?と思った次第です。でも、なんの意味があるんだ?、それって言われちゃうかな?やっぱり……。

scopedogさんが大喜びしていた「虚偽DV」裁判、最高裁で「虚偽DV」を訴えていた原告敗訴が確定してしまう

www.nikkei.com

この前はドヤ顔してたんですが……。
scopedog.hatenablog.com
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裁判が全てではないものの、高裁判決では暴力振るったことも認定されてるようですし、この案件、結局「虚偽DVガー」とか言ってる人が単なるDVしてる人応援団だった、というわかりやすい構図っぽくなって終了した感じです。(ほとんどの人は最初からそうだと思ってましたけどね)。地裁判決を出した福田千恵子裁判長も朝鮮学校無償化裁判で「国の判断は合理的だ」と請求棄却するなど、その経歴が「あ、やっぱりな」という感じの人でしたしね。
 往生際の悪い信者さんのために書いておきますけど、私がscopedogさんのおかしな挙動をしているときづいたのは、武蔵大学社会学部教授の千田有紀氏が、「虚偽DV」とか言ってる親子断絶防止法全国連絡会(当時)の主張を批判したときに、scopedogさんが激おこぷんぷん丸(死語)となり、猛然とかみつきtwitterネトウヨのお友達も犬笛で煽動しながら攻撃しまくった、3年ほど前のお話です。当ブログでもその時ちょこっと触れました。私、朴裕河問題とかでの千田氏の行動には批判的なんですけどね。
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まあ、そのあとscopedogさん、こちらの指摘にまともに答えずにブコメで開き直って見せたりしたあげく、離婚家庭当事者の私を小馬鹿にしてきた時点で「こいつ完全にダメだわ」と確定したのでした。完全に議論できない人という感じでしたね。私もここまでひどいとは思ってなかったのもよき思い出。
 親子断絶防止法全国連絡会(当時)の方も右翼路線を隠しもせずにテキサス親父事務局の藤木俊一の動画を紹介するなど、界隈のヤバい感じはビンビン高まり、ついに今年1月には親学の高橋史朗も呼んで一緒に集会してしまうほどになっております。これが変だと思えないのは相当邪悪ということだと思います。
 不思議なのはいつも歴史修正主義と闘ってる設定のscopedogさんと仲のいい左派の人たちがだんまり、というか一部に到っては積極的に支持していることなのですよね。杉田水脈、テキサス親父、はすみとしこ、高橋史朗とかオールスター?の名前がゾロゾロ出てきてるにもかかわらず、です。歴史修正主義と闘ってる設定すら怪しくなってくると、もはやなにがなんだかわからないんですけどね。どうしたらそういうことになるのか?彼らの頭の中で普段の主張とこの現象をどういう論理で統合しているのかは、この辺の人脈には完全に疎い反日左翼中年おじさんの私にはさっぱり分かりませんが、歴史修正主義批判シングルイシューのお友だち(←逆と学会みたいなもんじゃね)、挙動がガメ・オベールとその取り巻きそっくりなのも個人的には笑えるところだと思っています。

セクシズムやミソジニーのなにが悪いんだ!と言う感じの信者さんもいるようですが、以下の記事ちゃんと読んどきましょう。普段の主張も疑われかねないから、今からでも歴史修正主義は許さないって設定くらいは守ったほうがいいですよ?

リップシュタット教授は、否定論者たちが女性をターゲットにしがちな傾向が今も広がっていると指摘する。「女性の記者やブロガーは、『殺してやる』『強姦してやる』『嘘つき』と攻撃され、『彼女に書かせるべきではない』と執拗に追いかけられる。女性だからだ」

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え、scopedogさん関係ない?いやいやご冗談を。千田有紀氏を攻撃したときの状態ってまさにこれに近かったですよ。トンデモ扱いしてるって千田さんも言ってましたもん。朴裕河の問題とかでも、scopedogさんみたいなミソジニストが関わってくると本当に迷惑千万だから言及しないで欲しいよね。



まあ、でも類は友を呼ぶという状態だから無理なのかなぁ。以下は色んなアレな人たちと主張が被っている様子です。
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ということで、今回は唯一の客観的根拠っぽかった裁判で盛大な自爆になったことを取り上げてみました。今後も動向を生暖かく見守っていきたいと思います。