パラミツってなによ?

サンシャイン牧場をやってて前から疑問だったのが、パラミツって植物。
見た目はパイナップルっぽいのだけど、そうだったらパイナップルと書くだろうしと思ってWikipediaを見てみたらそういう植物があるらしい。
wikipedia:パラミツ
知らなかった。中国ではわりとポピュラーな存在なのだろうか?、とググった時にはそう思っておしまいになっていたのだが、
今日部屋の片付けをしていて偶然発見した『西遊記』本にこんな事が書かれていた。

つづく波羅国とは、『大唐西域記』巻六に見える波羅奈(バーラーナシー)国いわゆるベナレスのことかとする説もあるが、沈香国との斉合性からいっても、むしろ波羅蜜(ポロミー)すなわちパイナップルのことであろう。これも南方諸国とくに蘇吉丹(スカダナ)(現ハワイ諸島の一部?)あたりから泉州港に入っていた。いまでは福建でもパイナップルを大量に産している。

中野美代子孫悟空の誕生』 1987 福武文庫


な、なんですとー!(; ・`д・´)
中野さんが言ってるんだからやっぱりパイナップルのことなのだろうか?原文には注が付いていて『諸蕃志校注』という書物を参照したよう。
その本は今世紀に入ってから出版されたのものなので、ネットを探してももとの文章は出てこなかったのだけれど、大本の『諸蕃志』は見つけた。

波羅蜜
波羅蜜大如東瓜,外膚礧砢如佛髻,生逭熟黃,削其膚食之,味極甘。其樹如榕,其花叢生,花褪結子,惟一成實,餘各蘸死。出蘇吉丹,廣州南海廟亦有之。

趙汝适 『諸蕃志』 巻下志物 1225 


ここで産出国が蘇吉丹となっているのを思い出し、ふとパイナップルの原産国が気になってWikipediaを見ると原産国はブラジルとある。手元の資料でも南アメリカ原産とある。そうしてみると宋代の書物にパイナップルの記述があるわけが無く、こりゃアウト臭いと思って、再度パラミツをWikipediaで調べてみると英語版にこんな写真が!!
wikipedia:en:Jackfruit

写真はMichał Piotr Boym 1612―1659
(ミカル・ピョートル・ボイムと読むのだろうか?中国名 卜弥格)]
というポーランドイエズス会士の書いた『中国植物志』(Flora Sinensis)
出版は1656年ウィーン。
パラミツの絵と共に、ご丁寧に波羅蜜菓子と書いてある。ちなみに同じ本の中にパイナップルも載っており、中国名は反波羅蜜菓子。中野さんが取り違えたのか?『諸蕃志校注』が既に取り違えているのか?『校注』を持っていないので確認する術がないのだが、どちらにせよ、紛らわしい名前だ。現代中国語でもパイナップルは菠萝(菠蘿)とも言うようなので取り違えやすいのかもしれない。
今回は珍しくWikipediaの記述があっていたようだ。