曹操の墓が見つかったとか!気になる『聊斎志異』の記述。

みんな大好きな三国志曹操の墓が見つかったとのこと。
专家六依据认定曹操高陵 打破“72遗冢”说
http://www.chinanews.com.cn/cul/news/2009/12-27/2040542.shtml

 有名な薄葬の遺言はおぼえていたのだが、演義では他に七十二の偽塚を築いたという伝承があり、中国の方ではそっちも枕詞のように取り上げられている。かなり、印象に残るエピソードなんだなあ。ちなみに自分は七十二塚の方はすっかり忘れていた。
この「七十二塚伝説」初出はかなり時代が下るらしく信憑性は低いらしい。ちらっとしらべてみたけど『三國志』にも載ってない。

んでもってお題の『聊斎志異』なのだが、巻十に「曹操冢」というお話があり、曹操の墓を発見した話が出てくる。
なんでも許の城外の河で水浴びしていた人が切断死体となって発見されて、二人も犠牲者が出た。県知事が河をせき止めて調べてみると、崖下の河の中に深い洞があり、中に刃の付いた水車が仕掛けてあったんだそうな。水車を外して洞の中に入ると漢篆の刻まれた石碑を発見!読んでみると曹操の墓だったので棺を壊して骨をバラバラにし、財宝は尽く盗みました、っていうお話。(『聊斎志異平凡社

聊斎志異 上 (奇書シリーズ 6)

聊斎志異 上 (奇書シリーズ 6)

聊斎志異 下 (奇書シリーズ 6)

聊斎志異 下 (奇書シリーズ 6)

許城外有河水洶湧,近崖深黯。 盛夏時有人入浴,忽然若敲刀斧,屍斷浮出;後一人亦如之。轉相驚怪。邑宰聞之,遣多人閘斷上流,竭其水。見崖下有深洞,中置轉輪,輪上排利刃如霜。去輪攻入,中有小碑,字皆漢篆。細視之,則曹孟紱墓也。破棺散骨,所殉金寶盡取之。
異史氏曰:“後賢詩云:'掘七十二疑塚,必有一塚葬君屍。'寧知竟在七十二塚之外乎?姦哉瞞也!然千餘年而朽骨不保,變詐亦復何益?嗚呼,瞞之智正瞞之愚也!”

 この話の信憑性が気になる。もし本当だったら、碑文を読み違えて別人の墓を曹操のものと誤認してしまったのだろうか?

最後に付いている蒲松齢の評語もふるっている。「嗚呼,瞞之智正瞞之愚也!」河南省で見つかった墓が本物だったらそっくりそのままブーメラン。
まあ、蒲松齢としてはお話が本当かどうかとかはあまり関係が無くて、曹操をdisりたかっただけなのかもしれないが、ここでは暴かれた墓が曹操のものだとわかると盗掘もOKみたいな雰囲気が読書人も含め一般の人たちには、当時はあったということがわかる。それほど憎まれている曹操の墓がその奸計を彷彿とさせる七十二冢の話と共に中国人に思い出されるというのはある意味当然なのかもしれない。