「親子断絶防止法」の推進者がネトウヨとミソジニストだらけなのは思想的類縁性があるからに決まってんだろ

 前回のエントリーを書いてから、いろいろ忙しいのとだるいので続きを書けていないのだが、id:scopedog がまたまた大嘘とごまかしのエントリー(DV冤罪による親子引き離しとDV見過ごしによるDV虐待が両立するメカニズム http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20170328/1490651379)を書いてるので突っ込んでおく。前回の私のエントリーの翌日に書かれ、内容的にも明らかに意識して書いているにもかかわらず、トラバもなければリンクもないところが、原文、元資料にあたらないscopedog信者向けっぽい大変親切なエントリーになっている。(笑)
 面白いのは冒頭で「親子断絶防止法」推進者がネトウヨだらけ、という私の指摘だけは認めたことである。昨年10月に書いているエントリー(子どもと引き離される親をDV加害者と決め付ける千田氏の主張は容認しがたい  http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20161020/1476980719)で保守派への共感を露呈させるという「やらかし」をしてブコメ欄で微妙な反応(ブコメで私を含めた複数人 id:kyo_ju さん id:usi4444 さんから疑問を呈されてしまった。多分、本人的には意外な反応だったと思われる)をされて以来、ずっと表には出してこなかったからだ。おそらく、この間、何回か書いた「親子断絶防止法」のエントリーの反応を見て信者の掌握に自信をもったのだろう。ただ、単なるごまかしは信者は手玉に取れても、こちらには単なるへろへろの反論にしか見えない。以下、少し書いていることに沿って突っ込んでいこう。

「DV冤罪による親子引き離し」についてはリベラル系の人たちが存在自体を否定することがあります。

むしろ、離婚後の親子交流を推奨することでDVの危険が見過ごされDV虐待の被害が増えるのではないか、という懸念が強い傾向があるかと思います。

ただ、両方とも現実に起こっていることで、どちらかしか存在しないわけじゃありません。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20170328/1490651379

 
 「痴漢冤罪」でも「DV冤罪」でもそうだが、ミソジニストというのは、それが他の冤罪に比べて特殊である、という演出をする。これは左派・リベラル派の中でも変わりはなく、平気でこの言葉を使う人間(たいていおっさん)には事欠かない。なんのためにやるのかと言えば、ミソジニスティックな感情に訴えるためだ。「女が一方的に訴えるだけで男は罪に陥れられちまうんだぜ」というわけだ。単に冤罪と言わずに特別なカテゴリを作るところにミソジニストのミソジニストたる所以がある。
都知事選のときのレイプ未遂疑惑への鳥越の弁明*1は非常にわかりやすい事例と言えるだろう。scopedogがやっているのも全く同じことだ。「親子断絶防止法」推進の団体は複数あるがどれもDV冤罪を主張しているのは、そういう意味で非常にわかりやすいのだ。以前も書いたが、「親子断絶防止法」を推進している連中で、まともかまともじゃないか、の境界はこの部分にある。まともな人間なら子どもの権利に関係のない「DV冤罪」などという問題を、子どもの権利擁護のための法律(「親子断絶防止法」は建前上そうなっているのだが、その建前を自分たちで軽んじていると言える)を制定するときに持ち出そうなどとは考えないからだ。
 また、「女が一方的に訴えるだけで男は罪に陥れられちまうんだぜ」という論理は「中国人や朝鮮・韓国人が一方的に訴えるだけで日本は罪に陥れられちまうんだぜ」という論理となんら変わるところがないのだが、はてなの一部歴史修正主義批判派はscopedog(というかこいつもそういうスタンスだった筈なんだが)を批判するどころか擁護しているようで、そういう連中にとって歴史修正主義批判とは一体何のためなのか?という疑問も湧いてくる、ということも指摘しておいてよいだろう。

 また、「冤罪DV」とやらを考えるときには、加害者は自分の加害を認めない傾向にあるという事実の指摘も必要だろう。日本政府が戦争加害にどういう態度とってるかは一番わかりやすいし、個人レベルでもパワハラ、DV、レイプを簡単に認めないのは、アリさんマークの引越社から、先日の山口敬之君まで加害を指摘されている連中が頑張っているのを見ても明らかじゃあないですか。
まあ、弁護士の経験でもよくあるようですし。(ちなみにこういう指摘をする弁護士を離婚ビジネスと言ってまわるのも親子断絶防止法推進者に多いよなあ)
離婚したがらない夫
http://www.rikon-bengoshi.net/column/column_230620.html
実際の離婚関係の弁護士のリスクってかなり大きいのにな。
離婚事件と弁護士の危険 [弁護士業務]
http://ogawalaw.com/blog_detail/id=25
法律事務所で弁護士刺殺、トラブル後絶たず、同僚は怒りあらわ/横浜
http://www.beach.jp/circleboard/ad34512/topic/1100094511497


ところで私も親子断絶防止法関連で賛成派と反対派のやり取りを見ているのですが、敢えて左右の色分けをするならば、賛成派が右、反対派が左という傾向は確かに見られます。賛成派で、排外差別に肯定的だったり、反民主・反社民・反共産といった発言も確かに多く、ネトウヨが多いという印象は確かに否定できません。

社民党共産党も法案には反対の姿勢のようですから、左派は反対の傾向が強いというのも否定できません。

困ったことに、家庭教育支援法案というガチの日本会議案件と、この親子断絶防止法案を混同している人も結構見かけます。

“伝統的家族観”大好きの日本会議にとって、離婚家庭はそもそも興味の範囲外なので親子断絶防止法案が日本会議案件であるわけもないんですけどね。親子断絶防止法案を推進してきた別居親の団体は、社民や共産といったリベラル系から相手にされなかったこともあり、保守系に助けを求める以外なかったという事情を考慮すべきです。

ハーグ拉致条約の際、排外主義団体と並んで最も激しく抵抗したのが、リベラルの牙城たる日弁連だったこと*1は、これを理解するうえで重要なポイントです。

左派は伝統的にDV被害を受ける女性を救済する方向で活動し、それに特化し過ぎたため、DV防止法が“悪用”されている実態の把握や対処ができていません。

“悪用”という言い方は適切ではないかもしれません。むしろ特化しすぎたため袋小路に迷い込んだという方が適切かもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20170328/1490651379


 この文章は重要なことを書いている。「親子断絶防止法」の推進が別居団体が主体であったということだ。「親子断絶防止法」が親側の視点で作られているという最も根本的欠陥はここに原因がある。そこに子どもの視点を持つ人間がいなければ、そうなるのは必然だったと言えるだろう。
 また、「敢えて」もなにもその親たちはネトウヨか、さもなければナチュラルミソジニスト(「冤罪」DV を主張しているので、当然元配偶者からDVの訴えがあった連中である、という視点も必要よね)がほとんどなのだが、「ネトウヨとか保守派は多いかもしれないけど、それは左派・リベラル派がだめだったからで、保守派に助けを求めざるをえなかったからだもん」というわけだ。なんでそんな理由で連中の言動を免罪してやらなければいけないのかさっぱりだが、これで信者の説得はできると踏んで書くことにしたのだろう。実際そこそこのごまかしに成功したようである。

 「“伝統的家族観”大好きの日本会議にとって、離婚家庭はそもそも興味の範囲外」というのは単に事実として誤っているだけでなく、法案推進者にネトウヨが多い理由をごまかすという意味では積極的捏造と言えるだろう。推進派の主流団体である「親子断絶防止 全国連絡会」に両者のつながりを示すリンクが張られているので紹介しよう。
離婚しても子供の養育は共同責任 子供の争奪戦を招く単独親権の見直しを
http://oyako-law.org/index.php?cmd=read&page=%E5%B9%B3%E6%88%9028%E5%B9%B48%E6%9C%8819%E6%97%A5%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%99%82%E4%BA%8B%E8%A9%95%E8%AB%96&word=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%99%82%E4%BA%8B%E8%A9%95%E8%AB%96


 ここでリンクを張られている「日本時事評論」とはいかなる媒体か?山口智美・斉藤正美・荻上チキの『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』から引用しよう。

山口県山口市で発行されている『日本時事評論』(原注略)という小さな論評紙を知ったのは2004年の終わり頃。(中略)「各地で配布される反フェミニズムの媒体があるようだ」と、メールで流れてきた情報は、青と黒の二色刷りの『日本時事評論』の紙面のPDF版。この発行元が、「バックラッシュ条例」として一躍有名になった、山口県宇部市男女共同参画推進条例づくりに関わったとのことだった。(中略)なぜこの新聞が、これだけ熱心に男女共同参画批判をしているのか。疑問に思い、国会図書館で『日本時事評論』の紙面を見たところ、男女共同参画批判については、記事数、内容ともに、どの保守系媒体よりも充実していたことに気付いた。さらに、この新聞が「新生仏教教団」という宗教団体の社会活動の一環という位置づけのようだということまでは調べられた。(中略)紙面から私が感じていた、荒唐無稽な主張という印象とかけ離れた、フェミニズム文献を読み、理解し、それへの違和感をわかりやすい言葉で語ることができる人たちがそこにいた。「バックラッシャー」の主張をくだらないとバカにしてはいけない、この人たちは勉強し、わかった上で、戦略を考えて批判しているのだ。(中略)中央の日本会議に地方の一新聞社である日本時事評論社が従ったのではなく、逆に、どの論客よりも先に、男女共同参画批判の議論をつくり、綿密な情報収集を行い、運動をリードしたのが、日本時事評論だったと分かった。

『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』2012年 勁草書房 山口智美執筆部分p50-p53

社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動

社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動

 scopedog が言うような古色蒼然とした保守団体など、scopedog の脳内設定にしか過ぎない。むしろ、山口氏が指摘するように巧妙な論理をもって保守運動を推し進めるというのが、現在の草の根保守の本当に恐ろしいところである。scopedog は自身のミソジニスティックかつ保守的家族観ゆえに、その運動に絡め取られているのだ。
もう一つ。「親子断絶防止法」は反対派によるロビー活動があって、昨年12月元の法案文と修正案がはじめて公表された。(実は修正前の案文は公開されていなかった。昨年10月に公開したのは法案の反対派だったというのも付け加えておこう)この修正案(子どもの意見表明権が不十分ながら追加された)が気にくわないと言って法案反対にまわった団体がある。「共同親権運動ネットワーク」( 略称 Kネット)だ。この団体も日本時事評論の論調が気に入ったようで、リンクを張っているので紹介しておこう。広告に櫻井よしこ講演会のお知らせが入っているのはご愛敬だよ。(笑)
共同親権ニュースドットコム「日本時事評論」編集便り No.281 2017/04/07
http://kyodosinken-news.com/?p=8658
さて、子どもの意見表明権を推進派は修正案でしぶしぶを認めざるをえなかったのだが、推進派のなかでも不満たらたらなのは興味深い*2

なぜここまで嫌がるのか。『日本時事評論』の1つの号外記事を見てみよう。(PDF注意)
http://nipponjijihyoron.co.jp/img/extra_article/2010.01.17.omote.pdf


おやおや、どこかで見たような絵だぞう?

「子どもの権利」拡大認めず 日本会議から広がる運動 (朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASJ6K6W6PJ6KUTFK01F.html
↑上の記事消えてるんであんまり宜しくないがこちらからどうぞ 
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-12100.html

あららー。scopedog 先生説明シクヨロ(・∀・)
(予想される反論は条文に書いてないもん、だがこれについては子どもの権利条約の条文内での取り扱いが雄弁に物語っている。別に書こうとは思ってます)
この記事にブクマしてるscopedog先生のおもしろコメントはこちら。

まあ、日本会議に限らず、子供はイエの所有物という考え方は日本に蔓延してるわけだが。

http://b.hatena.ne.jp/entry/291088240/comment/scopedog

ブ、ブーメランが頭に突き刺さっておられる!!m9(^Д^)プギャー

産経新聞の主張も面白いから貼っておくね。

【主張】子供の権利 甘やかさない教育必要だ
 
 「子供の権利」を誤解した条例づくりが依然として後を絶たない。
 長野県が「子ども支援条例(仮称)」の制定作業を進めているが、甘えやわがままを助長する内容にしてはならない。
 子供の権利が強調されるようになったのは、20年前の平成6年に、日本が国連の「児童の権利条約」を批准したことがきっかけだ。12年に川崎市が「子どもの権利に関する条例」を制定するなど、各地の自治体で同種の条例がつくられた。
 国連条約の本来の目的は、子供を飢えや病気、虐待などから保護することだ。しかし、自治体の条例では、子供の「意見表明権」といったものまで加わり、権利をはき違えたわがままを許す風潮が問題になってきた。
 例えば親が子供部屋に入ると、「プライバシー侵害」だと子供が文句を言う。国連の委員会の場で日本の高校生が、制服を義務づける校則に反対して「意見表明権」を持ち出し、海外の委員から「制服もない国の子に比べ幸せ」などとたしなめられた例もある。
 また高知県では、条例の審議過程で「休む・遊ぶ」権利が批判を浴び、削除された。子供に媚(こ)びる前に、教えるべきことを教えなければならない。
 最近も、いじめや児童虐待などが相次ぐ中で、子供のための条例を検討する自治体がある。
 長野県で検討されている条例の骨子案では、保護者が教育に責任を持つことや、子供に規範意識を身につけさせることが盛り込まれ、過度に子供の権利を強調しない内容にはなっている。
 しかし、その趣旨は条例名にあるように、子供の「支援」を内容としており、誤解を懸念する専門家もいる。子供の顔色をみるばかりで、厳しい指導ができないというようでは困る。慎重に検討してもらいたい。
 滋賀県で開かれている日教組の教研集会では、委員長あいさつで「子供の権利としての教育ではなく、国家の意思としての教育が前面に出ようとしている」などと言及された。規律や公共心育成などを重視した安倍晋三政権の教育再生の取り組みを暗に批判したものとみられる。
 しかし、わがままを正せない親や教師の教育こそ見直してもらいたい。だめなことはだめとしっかり教えたい。

http://www.sankei.com/life/news/140126/lif1401260010-n1.html

DV冤罪による親子引き離しとDV見過ごしによるDV虐待が両立するメカニズム
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20170328/1490651379
大体突っ込み終わったんだけど、↑これ引用していない部分で子どもの意見表明をどういう風に扱っているのかに注目して読んで見ると面白いよ。ちなみに、外国の事例とか持ってきてごまかすのscopedog の基本のごまかしの手口だから騙されちゃダメよ。法律ってのは誰が何の為に制定するのかっていうのを考えなきゃ。あの法律は子どものための法律なんですか? 子どものためを装っているのは偽装だからね。文章の視点はどこになってる?そこから考えようね。

2017/06/27
重複表現を修正
2017/07/17
一部リンクを追加 改行等修正

*1:「そもそも、痴漢えん罪事件が絶えないのは、被害者とされる女性の供述のみに基づいて起訴されることにある。本件もまさに、A子氏及びA子氏の恋人の供述のみを元にして書かれているのであり、週刊新潮の記事は同種のたぐいである。」http://archive.is/3Qqfn

*2:子どもの意見表明に関する「親子断絶防止法 全国連絡会」の記述。http://oyako-law.org/index.php?cmd=read&page=%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E6%84%8F%E8%A6%8B%E8%A1%A8%E6%98%8E&word=%E6%84%8F%E8%A6%8B%E8%A1%A8%E6%98%8E 相当いやがっているのが伺える。子どものための法律じゃなかったの?(笑)